| ベストシーズンといわれる6月にパリに行ってきました。ベストシーズンと言われながら、ほとんど雨か曇りで平年気温を下まわる寒さです。昼間の気温も20 度以下の気候でしたが、それでもウールのコートを着て歩いていたパリジェンヌにはギョッとしました。(ごく一部の人ですが、暑くないのだろうか…。)北廻りの飛行機でしたが、窓の外を見るとロシアを超えて北欧からずっと厚い雲に覆われています。現地ガイドさんによると4月以降ずっとはっきりしない気候だとのことです。 プライベートだとなかなか訪問の機会のないフランスですので、生活環境という視点から街並を肌で感じ取れればいいなと思い、自分なりにコンセプトを持って楽しんできました。 |
パリ市内のルーフガーデン・バルコニーガーデン | ||||||
| ルーフガーデン・バルコニーガーデンは世界的にもニューヨークとパリが有名で、洋書で何冊か専門書も出ています。ルーフガーデンの発達する要因に、一つは街の文化的成熟度もあります。もう一つは、建蔽率が高く物理的に露地部(グランド部で土のある部分)が少ない為、プライベートを確保する外部空間、そして植物の育成条件も絡んで、ガーデンは上へ上へと逃げていく。ごく当たり前の法則が成り立ちます。但し不動産も含めて高額な費用がかかりますので、限られた裕福層の世界であるのも事実です。とはいっても出幅の狭いベランダでも花を飾っている景色は頻繁に見られますし、日本との歴史の違いを感じます。これはヨーロッパの都市部に共通していえるでしょう。 東京も少しずつですが、ルーフガーデンが増える傾向にあります。建築計画時にルーフガーデンの施工を見こした計画をザ・シーズンにご相談に来られるお客様も見うけられます。(本格的なガーデン施工の為には、載荷重400kg/m2程度と防水、排水機能が不可欠。) | ||||||
| ||||||
生活の中で、ガーデンに対する考え方の違い | ||||||
| 日本でのガーデンの作り込みは、他国との決定的な違いが一つあります。それはスケール感の違いです。日本人の緻密さや歴史の中で「坪庭」という発想があります。物理的に限られた空間、又はわざと限らせた空間に1つの世界を成立させる。厳しくいえば、「隙の無い世界」です。つまり、ヨーロッパのガーデン (jardin)は日本のそれと比較していえば「おおらかさ」の違いだと思います。目に見えてくるのは面積単位での作りこみの密度、といえば判りやすいでしょうか…。どちらが良いか悪いかという話ではなくて、文化の違いです。 ヨーロッパへバカンスで訪れて、対応のアバウトさに驚いた人が多いと思いますが(特にイタリア)数日経つと慣れてしまい、以外とリピターになったりします。イタリア・スペインの中庭(パティオ)は有名ですが、眺めてみると床は単調な石畳又はテラコッタタイル。鉢植え又は露地植えのいい加減な樹形のオリーブ、柑橘系樹木があるのが定番でしょうか…。それでも、この空間に日本とは違う心地よさを感じてしまいます。 以前私がザ・シーズンの店長をしていた時、ベルギーのレンガメーカー社長さんが店を視察に来てくれたことがありました。その時の話ですが、私なりにショッキングなことがありました。当然ベルギーレンガの話などをしていたのですが、「これは、いい機会だ!」と思って店舗内の施工事例写真を見てもらいました。当時は輸入資材を多用した洋風ガーデンが主流でしたので、興味津々に感想を聞いてみたらビックリ。「これは、とてもファンタスティックな日本庭園だ!(ジャパニーズガーデンだ!)」と言われました。「…。」洋風ガーデンのつもりだったのに、思わず腕組みをしてしまいました。でも、よくよく考えてみますと確かに資材はデンマーク、イギリス、イタリア、オーストラリアなどの輸入材でも、組み合わせや緻密さは確かに日本人独特な手法だと気づきました。よく「西洋の物まねではなく…」という言葉を聞くが、逆に私は、「パーフェクトな物まねはできない。洋式といえども自分自身のデザインは、日本的な考えとコラボレートする再構築の時期にあるんだな。」と確信しました。 | ||||||
歴史的建造物を見学して | ||||||
ご多分に漏れず、多少この話題にもふれます。観光ガイドと同じ話をしても仕方ないので、興味のある話だけさせて頂きます。やはり石文化の歴史には圧巻でした。前述のスケール感の話にも繋がりますが、石の重たさを表現するテクニック、具体的には幾何学模様、面取りとその厚み、装飾模様には感服です。凱旋門など比較的歴史は深くなくとも、装飾美の蓄積・継承は歴史の深さを感じさせます。次に魔よけの意味がある雨樋ですが、これが結構好きで必ず見てしまいます。イギリス、オーストラリア製のガーデンオーナメントを仕事がら見る機会がありますが、妖精や悪魔など日本人の感覚からするとかなりリアル&グロテスクな商品があって、「なんでこんな物が商品化されるんだ!」と生理的に受付けないものも有ります。雨樋から繋がる歴史・文化の違いを感じました。仁王様も西洋から見ると同じ様に感じるのかな?
| ||||||
パリ市近郊の住宅 | ||||||
| 市内は別にして、一般的な住宅地での住環境はどうなっているのかな?と前々から興味がありました。写真はバスで移動中に撮ったものですが、まあ予想通りだったのかも知れません。私の目に付いたのは60〜70坪ぐらいの土地に、日本でいう低層2階建て住宅です。外観から見える細部の部材は、精度の高い日本の住宅との違いがありますが、高級でなくとも素材感・バランス感が良いものが目に付きました。かといって、日本の例えば神奈川県・田園都市線沿いの住宅と比較して見ても、「日本は、まだまだ本場フランスの住宅と比べて広さもデザインも…。」などと卑下する必要はないレベルまで来たな、と思います。まあ、郊外リゾートのVillaは別格ですが…。ちなみにガイドさんから聞いたのですが、写真を撮ったこの地域もここ5年ほどで相当不動産価格が上がって購入しずらくなっているとのことです。 写真は撮ってこなかったのですが(スミマセン)、高速郊外鉄道のA4線を下って終点の某有名アトラクションのある1つ手前の駅に、郊外型のショッピングセンターがあります。買い物に行ってきたのですが、駅周辺は現在も大規模な造成・建築中で、工事中の「マスタープランの看板」を見る限り、住宅を含めた複合都市になるようです。思わず金網にへばり付いて工事を見入ってしまったのですが、大型のショッピングセンターも含めて日本の郊外住宅地とあまり変わりないコンセプトだなと感じました。当日はサッカーのフランス一次リーグ敗退が決まった日で、午前中は人がガラガラでした。(かなり暗かったです。ジャパンチームはどこで話をしても誉められました。リップサービスですかね?)ところで、パリ中心部から電車で40分程度の距離で、あの清涼な住環境とは非常に羨ましい。東京と比較しても、通勤には全然問題ない距離ですよね。
| ||||||
再びパリ市内に戻って | ||||||
実は、石材などの工事資材は別にして、ガーデン製品も世界的に同じ流れがあります。ヨーロッパのメーカーであっても生産はアジアという図式がよくみられます。確かに安定品質・安価・大量生産というメリットはありますが、徐々にその国・地域独自の「巧みの技」が失われるのではないかと心配してしまいます。 次に、有名な街路樹ですが皆さんご存知かもしれません。プラタナス(すずかけの木)・ニセアカシア・菩提樹がやはり良く目に付きます。東京のプラタナス街路樹と比べると、とにかく大きい!(街路によって大きさの違いがありますが)まずは生育年数の違いから、目通り(幹周りの太さ)が違います。あと歩道の幅員や街路樹のスパンの違いからの理由だと思うのですが、高さ・幅張りの剪定・管理するサイズが大きいです。 あと、店舗やホテルでの鉢の置き方ですが、シンメトリー(左右対称)の配置がヨーロッパ共通で頻繁に目に付きます。テラコッタかベルサイユプランターがパリ市内は多いようです。 最後に、パリの有名なファッションデザイナーが雑誌で語っていた話ですが、「女性に例えればパリはおばあちゃん。東京は若いお嬢さん。」と80年代に読んだインタビューが何故か頭の隅に残っていました。仕事柄、東京⇔海外デザイン比較を常に考えてしまうのですが、現在進行形のフランスで感じたことは、歴史・伝統と近代化の積み重ね。かっこ良く言ってしまえば、そんな感じでしょうか…。凱旋門と新凱旋門の対比や近代的なシャルル・ド・ゴール空港を見て「これも有りだな。」が私の気持ちです。 | ||||||
|