【香りの記憶】 【オランダ・ドイツ花紀行】 【湿原探訪】 【テラコッタとは】 【散水システムのご紹介】 【ガーデニング教室】

■デザイナー's コラム『香りの記憶』【担当/吉岡智美】2006年9月


以前お茶を飲もうと、むわっと立ちこめる「その香り」を嗅いだ時、幼い頃の思い出がふっと蘇りました。

私が小学生の頃、鹿児島に3年ほど住んでいました。時折、休日に車で開聞岳という南国の富士山といわれる、美しい山に出掛けることがあり、その道中での何よりもの楽しみが、開聞山麓香料園に寄ること!(最近知ったのですが、ここは日本で最も古いハーブ園で、日本のハーブの歴史はここから始まったと言っても過言ではないそうです。)そして、ここに隣接する喫茶店でハイビスカスティーを飲むのが大好きでした。お砂糖たっぷりの(…子供なので)甘酸っぱ〜いハイビスカスのお茶。

あー。このお茶、あそこでよく飲んだお茶だよねー。


あなたは香りを嗅いだ瞬間、昔の記憶がふっと蘇った。という経験ありますか。

なんでも『香り』と『記憶』とは密接な関係にあるんだとか…。
匂いを感じるメカニズムは、鼻から吸った香りの微粒子を、鼻の奥の嗅上皮という粘膜でとらえ、嗅細胞で香りを電気信号に変換。そして、その電気信号は嗅神経を通って、脳の大脳辺縁系に。この大脳辺縁系には、海馬や偏桃核といった記憶や感情をつかさどる部分があるので、好きな香りを嗅ぐと気分がよくなったり、昔のことを思い出したりするそうです。


ハイビスカスの茶葉

鹿児島に居た時、色々な観光をした覚えはありますが、正直あまり覚えておらず、言われれば、ん〜そうだった!?と答える始末でして…。親のがっかり冷視線もなんのその、ぼーっと育った私ですが、大人になってから改めて出会ったハイビスカスティーの香りに、忘れていた記憶がふーっと蘇ったのですから、なんだかすごい。
この香りがきっかけとなり、開聞山麓自然公園に出掛けたこと、香料園に行ったこと。入り口はアーチになっていて、そこには色鮮やかなブーゲンビレアの花が咲いていたこと。噴水があったこと…くずって母に怒られたこと(笑)まで。様々な記憶を呼び起こしてくれました。香りって、なんとも不思議な力を持っているんですね。


…玄関前に香りのある植物を植えてみませんか。
お客様を迎える為の、歓迎の意の香り。そして、その方との間にステキな思い出を残せたら、と願う香り。

●日当たり 樹木 ハクモクレン、カラタネオガタマ、ロウバイ
ハーブ ローズマリー、ラベンダー、
センテッドゼラニウム(非耐寒性)、
レモンバーベナ(非耐寒性)、バジル(一年草)
草花 スイカズラ(つる植物)
● 半日陰 樹木 ジンチョウゲ
ハーブ ミント、レモンバーム


門を入り、玄関までの小道を進むと、ふっとローズマリーの香りが漂う。
心地よい香りに包まれ、その日の思い出をいつまでも心に刻んでくれたら、なんだか素敵ですよね。
ローズマリーの香りに出会うたびに、私の事、この日の事を思い出してくれるのですから…。

植栽プランナー
吉岡智美
1971年生まれ。

植栽計画・工事・メンテナンス、講習会講師等を手がける。
できる限り環境や人に負荷を与えず、楽で楽しい園芸を目指す。